かがやき取り戻す 「看板 コーナー 」
ニュースを掘り下げたり、その裏側を描いたりする時時刻刻は、朝刊の看板コーナーで、編集局が最も力を入れてきたコーナーです 。ところが、朝日新聞デジタルを通じて、どの記事がどれだけの人に読まれているのか、どれだけの 有料会員を獲得しているのか、どれだけの時間をかけて読まれているか、といったデータが瞬時に取れるようになるなか、多くの時時刻刻コンテンツが他のデジタル記事と比べて苦戦していることが浮き彫りになったのです 。
時時刻刻の改革論議の出発点は、デジタルで読まれていないコンテンツがそもそも、紙面読者にとって読みたいものになっているのか、という記者たちの自問でした。
時時刻刻のなかには、朝デジで読まれたものもありました。それらを分析すると、①読者の「知りたい」に答える“問い”が 立っている ② “問い”への答えに朝日新聞の独自要素がある ③発信のタイミングが時宜を得ている。といった必須条件が見えてきました。編集局では、これらの分析結果を一線の記者たちとも共有し、当番編集長を中心に記事の「わかりやすさ」「深さ」「広がり」を意識して、時時刻刻を刷新し、品質管理を強めました。
さて、その成果はどうだったのか。
朝デジから得られるさまざまなデータを100点満点で数値化した「読者の反応」スコアをみると、60点以上を取った時時刻刻関連の記事が5月以降、記事全体の水準を大きく上回り、スコアもよくなってきました。このほかにも、紙面ビューアで記事がクリックされた数を順位付けしたところ、時時刻刻関連のコンテンツで上位20位に入るものが紙面改革後に増えている傾向も見えました。
編集局は現時点で、①読者の反応に手応えがあり、時時刻刻がデジタル会員のリテンション(継続)に効果を発揮している ②継続的に結果をみていく必要はあるが、紙面でも少しずつ読まれるようになっている――との見方です。引き続き、読者を増やし、満足していただくために努力を重ねる、といっています。
第1号でご紹介したとおり、「わかりやすさ」「深さ」「広がり」が名実ともに時時刻刻の売りになっていると言ってよいと思います。とはいえ、努力をやめれば、品質はすぐに劣化しますし、日によって品質にデコボコがあるのも事実です。今回のコラムのタイトルを「かがやき取り戻した『看板コーナー』」とせず、「かがやき取り戻す……」としたのは、改革は道半ばであるという認識からです。
さて、先月から今月にかけて、自民党安倍派の裏金疑惑や岸田首相の旧統一教会系団体幹部との面会問題など、朝日新聞のスクープが相次いでいます 。
「スクープの力」については、第3号の「ここ売り!」でご紹介しました 。この機会に改めてご覧いただけるとうれしいです 。
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